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遺言書

遺言書の重要性を熟知しているからこそ~毎年遺言書を作成しています

よくわかる相続と遺言書のマニュアル 遺言書

『遺言書は必ず作成しておきましょう』

私たち専門家は遺言書の大切さや重要さを実感する機会が多いだけに、事あるごとにこうした言葉を必ず口にします。

これは決してセールストークなどではありません。

遺言書があれば防ぐことができた相続トラブルの事例であったり、もっとスムーズに相続手続きを終わらせることができた事例を日々目の当たりにしているからです。

ちなみに、私は行政書士として開業した当時30代でしたが、この仕事を始めてから毎年欠かさず遺言書を作成(更新)しています。

みなさまに遺言書の重要性を説いているにもかかわらず、自分は遺言書を作成していないというのでは説得力がありませんからね。

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遺言書を作成する必要性は老若男女関係ありません

民法には、満15歳以上であれば法的に有効な遺言書を作成できることが明記されています。

民法第961条(遺言能力)

十五歳に達した者は、遺言をすることができる。

ですから30代、40代で遺言書を作成しておくことも決して早すぎることはありません。

不治の病や避けられない事件事故に巻き込まれてしまうなど、残念ながら誰しもが必ず天寿をまっとうできるとは限りません。

そして私が毎年遺言書を作成しているように、遺言書というのは自分の意思で何度でも作成し直すことができます。毎年でも毎月でも毎週でも構いません。

遺言書の作成は財産内容の棚卸しにも役立ちます。

特に年齢が若ければ若いほど自分をとり巻く状況の変化が多いものですから、どうしても定期的な見直しが必要となるのです。

私が遺言書を作成する目的はもうひとつある

私自身は独身で両親も祖父母ともに亡くなっていますが、実弟が一人います。

ですからこの弟が唯一の推定相続人ということになり、私に万が一のことがあって遺言書を残していなければ、すべての財産は弟が相続します。

ただし遺言書の具体的な内容は伏せさせていただきますが、もし今自分に万が一のことがあった場合、実弟に財産を残すことは一切考えていません。

私の雀の涙ほどしかない財産を相続するのも遺品整理も面倒でしょうし、弟の子である甥っ子はもう誰もが知る大企業に就職しているということもあります。

年月がもっと経てば、もしかすると気持ちが変わるかもしれません。だからこそ毎年遺言書を更新しているというわけです。

私の弟は相続権を主張できない?~兄弟姉妹の遺留分について

ただ先にも述べたとおり、法定相続人である弟に財産を一切残さない遺言の内容でも法的に問題はないのか、という疑問をもつ方がいるかもしれません。

実はこの場合、遺言があれば私の弟は財産を相続する権利を主張することはできません。

なぜなら、兄弟姉妹には遺留分がないからです。

遺留分というのは、一定の相続人(妻や子、父母など)に保障されている最低限の相続分です。

つまり兄弟姉妹だけが相続人となるケースでは、遺言書を残しておくことで財産を相続させないことができるということになります。

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相続トラブルに財産の多少は関係ありません

そしてはっきりと言えるのは、財産の多少や相続人の状況にかかわらず、遺言書の作成は誰にとっても必要だということです。

家庭裁判所に持ち込まれる相続トラブルの約8割は、遺産5,000万円以下という普通の家の相続案件です。

そうした相続トラブルの中には、遺言書さえあれば防ぐことができたものも多数あるはずです。

少子高齢化が急速に進んでいる現代では、相続人ひとりあたりの相続財産額が増えてきていることもあり、遺言書の役割はより重要となっています。

遺産をめぐる相続争いというのは決して他人事ではなく、明日わが身に降りかかってきてもおかしくない問題なのです。

法務局における自筆証書遺言書保管制度も利用を

そして令和2年7月から始まっている『法務局における自筆証書遺言書保管制度』についても、利用を検討しています。

この制度は非常に簡単かつ安価に利用できるので、複雑な相続関係や財産内容、相続人との関係性などに大きな問題がなければ、ぜひ利用したいところです。

ただし法務局で確認してもらえるのは、全文が自筆であることや日付の有無といった形式的な部分のみとなっています。

最も肝心なのは当然のことながら遺言書の中身、内容です。この点については法務局で相談することはできません。

そのため法務局における自筆証書遺言書保管制度を利用する際は、相続や遺言書に詳しい行政書士といった専門家に相談してから作成することをお勧めします、