遺産分割協議書は、被相続人(亡くなった方)の遺産を、相続人間でどのように分けるのかを決める話し合いである、遺産分割協議の結果を書面にしたものです。
遺産分割協議書を作成するひとつの目的としては、相続人間で話し合った内容をきちんと書面にしておくことで、後の協議の蒸し返しなどのトラブルを防ぐことがあります。
遺産分割協議書が必要かどうかは、その相続のケースによって異なります。
相続人が複数いるような場合には、やはり後のトラブルを防ぐためにも作成しておいた方がよいですし、相続手続きにおいても遺産分割協議書が必要となることが多いでしょう。
遺産分割行書がなくても行える手続きはある
前述の通り、基本的に遺産分割協議書は作成しておいた方がよいのですが、相続手続きにあたっては、遺産分割協議書が必要ないケースもあります。
被相続人名義の預貯金等についての相続手続き
通常、ほとんどの金融機関の名義変更や解約といった手続きにおいては、金融機関所定の手続き用紙に相続人全員の署名捺印(実印・印鑑証明を添付)することで相続手続きが可能です。
この場合、相続人間で代表相続人となる人を決め、いったん代表相続人の口座に被相続人名義の預貯金が振り込まれることになります。
そのため、預貯金の手続きにおいては、遺産分割協議書の提出が不要な場合があります。
ただし、手続きを行う金融機関によっては遺産分割協議書の提出や提示を求められることがありますので、その場合には遺産分割協議書を作成しておく必要があります。
相続手続きに必要となる書面などについては、事前に確認しておきましょう。
不動産の名義変更等の相続手続き
相続人が複数いる場合で、相続財産の中に不動産が含まれていると相続登記(名義変更)の際に遺産分割協議書の添付が必要です。
これは、不動産の名義を誰に変更するのか、という相続人同士の合意を確認するためです。
ですから、遺産の中に不動産があり、相続人の一部がその不動産を引き継いで名義変更する場合には、遺産分割協議書の作成が必要となります。
なお、不動産登記に添付する遺産分割協議書に関しては、書き方や内容に不備があると相続の名義変更ができないことがあるので、行政書士などの専門家に相談するのが無難です。
法定相続人が一人しかいない場合
この場合には、戸籍のみで相続人となる人が一人のみであることが確認できるため、遺産分割協議書の作成は不要です。
相続人が一人しかいないことを証明する被相続人の戸籍は必要となりますが、そもそも協議する相続人がいませんので、遺産分割協議書がなくても単独で相続手続きを進めることができます。
遺産分割協議書は相続において重要な書面です
遺産分割協議書は法律で必ず作成しなければならない、と決められているわけではありません。
しかし、相続手続きにおいて遺産分割協議書が必要となることもありますが、何よりも後の相続トラブルを防止するという重要な役割もあります。
遺産分割協議の蒸し返しなどを防ぐためにも、相続人間で遺産をどのように分けるのかを決めた際には、きちんと遺産分割協議書を必ず作成しておきましょう。
なお、当事務所でも遺産分割協議書についての相談を承っております。行政書士は遺産分割協議書をはじめとする書類作成の専門家です。
疑問点やお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。