相続対策として遺言書を作成する方が増えてきていますが、遺言書の作成は相続人の負担を軽減するだけでなく、ほかにも様々なメリットがあります。
ただし、遺言書の内容によっては、遺言書があることで、かえって相続トラブルが生じてしまう、といったことにもなりかねません。
遺言書を作成する際には、主に以下のような点に注意しましょう。
遺言書を作成する際の主な注意点と効果的な方法
遺言書を作成する際の注意点や効果的な方法としては、主に以下のような点をチェックしておきましょう。
すべての財産について正しく記載しているか
相続する財産というのは、不動産や預貯金だけでなく、およそ金銭的な価値があるものはすべて対象となります。
不動産や預貯金だけでなく、すべての財産について細かく記載するようにしましょう。
特に、不動産については登記簿謄本に記載されている通りに書いていないと、後に名義変更の移転登記に支障が出てきてしまいますので注意が必要です。
すべての財産が記載されていないと、相続人間でトラブルが生じる可能性が高くなります。
多くの相続財産がある場合には、生前にあらかじめ財産目録を作成しておくのも、有効な対策です。


特別受益や遺留分に配慮する
特定の相続人に対してのみ生前贈与を行っていたり、相続人の遺留分に配慮していない場合などでは、遺言書の内容によってトラブルが生じる可能性があります。
特別受益や遺留分というのは、相続の際にトラブルとなりやすい点なので、十分に注意しましょう。


予備的遺言という方法も活用する
遺言書を作成しても、それからすぐに遺言者が亡くなるとは限りません。
そして、遺言書を作成してから年月が経てば、相続人や財産状況などに変化があるかもしれません。
そのような場合に備えて、もし財産状況の変化が生じた際にも対応できるよう、予備的遺言も書き込んでおくことをお勧めします。
予備的遺言というのは、『もし○○のときは○○とする』など、状況の変化に応じて予備的に書き込んでおくものです。
遺言執行者を記載しているかどうか
遺言執行者というのは、簡単に言えば『遺言書の内容を実現するための人』です。
これはよく誤解されがちなのですが、遺言書があるからといっても相続人は遺言書に記載されている通りに遺産分割(遺産を分けること)する義務はありません。
自らの意思をできる限り実現してもらうためには、遺言執行者の指定は欠かすことはできません。



付言事項で自分の思いを記載しておく
例えば、『長男にはよく面倒を見てもらった』など、特定の相続人に財産を多く残したい理由を付言事項として記載しておくことで、他の相続人が納得しやすくなる効果が期待できます。
また、付言事項で自分の思いをしっかりと記載しておけば、相続トラブルをぐっと抑えることができるかもしれません。
遺言書を作成する際には、付言事項も書き込んでおくとよいでしょう。
遺言書は専門家と相談しながら作成するのが安心
遺言書というのは、ただ書いておけばよいというものではありません。
形式的な部分だけでなく、財産内容や相続人の状況など、様々な点を考慮しながら作成する必要があります。自分では気づかない大事な点が抜けていたりするかもしれません。
ですから、遺言書の内容については、書類作成の専門家である相続や遺言書に詳しい行政書士などと相談しながら作成することをお勧めします。
当事務所でも、遺言書についての相談を承っております。疑問点やお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。