遺言書を作成しておきたい方の中には、入院中であったり寝たきりであるといった場合もあるかと思います。
一般的な遺言書の形式としては『自筆証書遺言』と『公正証書遺言』がありますが、自筆証書遺言の場合は、遺言の全文を自筆で書かなければなりません。
また法的に有効な遺言書を作成するにあたっては、遺言能力(自分の意思で遺言書を作成することができること)があることが大前提となります。
例えば認知症の方などは、症状の進行程度によっては遺言能力という点で問題が生じる可能性が高くなります。
では入院中の方や寝たきりの方であっても、遺言書を作成することは可能なのでしょうか。
入院中や寝たきりの方でも遺言書の作成は可能です
先にも述べたとおり、一般的に作成される遺言書の方式は『自筆証書遺言』と『公正証書遺言』のどちらかとなります。
そして遺言書を作成する場合には、まず遺言能力があることが大前提です。
入院中や寝たきりの方であっても、文字をしっかり書くことができるようであれば、自筆証書遺言を作成することはできるでしょう。
しかし自筆で遺言書を作成することが困難な場合であっても、遺言書を作成することができます。
その方法が『公正証書遺言』での作成です。
公正証書遺言とは?~公証人が作成する遺言書の形式
公正証書遺言は、公証役場の公証人が作成する形式の遺言書です。
公正証書遺言を作成するにあたっては、公証役場に遺言者本人が出向いて作成してもらうのが一般的ではありますが、実は公証人に出張してもらって作成することも可能なのです。
ですから入院中や寝たきりといった方であっても、病院や施設、自宅といった場所まで公証人に出張してもらって作成することができます。
目や耳に障がいがあったり文字が書けなくても作成できます
さらに目や耳に障がいがある方や文字が書けない方であっても、公証人に遺言内容を伝えることができれば問題ありません。
遺言能力がしっかりとあれば、という前提条件はありますが、入院中であっても寝たきりの方であっても遺言書は作成できるのです。
公正証書遺言で作成する場合のメリットと注意点
自筆証書遺言の場合には、全文を自書して日付と署名捺印するといった、民法上のルールに従って作成されたものであれば有効な遺言書となります。
ただし入院中や寝たきりの方、施設に入られている方などの場合は注意が必要です。
後の相続という段階になってから、『あのときは遺言書を書けるような状態ではなかった』などといったことが問題となり、相続人間でトラブルが起きることが少なからずあるためです。
公正証書遺言は高い証明力・証拠力があるのが最大のメリット
一方、公正証書遺言であれば、第三者である公証人が本人に遺言能力があることをきちんと確認して作成します。
公証人は法律のプロですから、形式上のミスなどで遺言書が無効となるような心配もありません。
つまり証明力、証拠力が高い遺言書を作成することができる点が最大のメリットであり、公正証書遺言で作成しておけば、後のトラブルを未然に防ぐことができるということになるのです。
公正証書遺言作成の注意点は?
上記のように公正証書遺言というのは遺言能力さえあれば、ほとんどのケースで遺言書を作成することができます。
ただし公正証書遺言を作成する際には、『公証人手数料』という実費が必ずかかります。
これは遺言者の財産内容や遺言内容によって金額が異なるため、数万円で済む方もいれば数十万円かかるような場合もあります。
さらに出張での作成については別途出張料が加算されます。
また、公正証書遺言の作成にあたっては、2名以上の証人が必要です。
推定相続人(将来相続人となる人)などは証人となることはできませんので、その点も注意しましょう。
公正証書遺言の作成についてお困りのことがあれば
なお当事務所では公正証書遺言作成に関するサポートも行っております。
遺言内容についてのアドバイスや原案作成、証人の手配はもちろん、公証役場とのやり取り、必要書類の取り寄せなども代行しております。
出張での公正証書遺言作成についての相談や経験も豊富です。
公正証書遺言の作成について疑問点やお困りのことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。