一般的に作成される遺言書の種類には、自筆証書遺言と公正証書遺言の2つがあります。
このうち、自筆証書遺言については文字通り、自分で全文を書いて、自分で保管しておく形式の遺言書です。
そして、自筆証書遺言を作成する場合、民法に定められている規定に沿って作成する必要があります。
もし、民法が求める形式ではなく、記載や方式に何らかの不備があったような場合、その遺言書そのものが無効となってしまうことがあるのです。
特に、自分で作成して保管する自筆証書遺言では、そうした点に十分に注意する必要があります。
遺言書が無効・取消しとなる主なケース
自筆証書遺言を作成する際には、主に次のような点に注意しましょう。
遺言能力が欠けている場合
重度の認知症や精神疾患などがある、遺言者が15歳未満であるといった場合、たとえ遺言書があったとしても遺言は原則として無効となります。
遺言書の内容が公序良俗に反している
例えば、遺言の内容が法に反するようなものであったり、明らかに公序良俗に反していたりするものは、当然のことながら遺言は無効となります。
共同遺言で作成されている
遺言は、必ず遺言者個人で作成しなければなりません。
たとえ仲のよい夫婦であっても、夫婦連名の共同遺言という形で作成してしまうと無効となりますので注意しましょう。
法が定める遺言書としての形式を満たしていない
例えば、自筆ではなく本人以外の誰かによる代筆、一部でも自筆ではない場合、署名捺印、日付といったものが抜けているといったものは、遺言書そのものがすべて無効となってしまいます。
特に遺言書は、後にいつ作成されたものであるかが重要な争点となる場合がありますので、日付の記載は絶対に欠かせません。
なお、よくある例として『〇年〇月吉日』といったような記載をすると、その遺言は無効となってしまいます。『吉日』では正確な日付が特定できないためです。
日付に関しては元号でも西暦でも構いませんが、しっかりと年月日が特定できる形で記載しましょう。
詐欺や脅迫によって作成された遺言書
遺言内容に関する利害関係者等による詐欺や脅迫によって『書かされた遺言』は、当然のことながら無効となります。
自筆証書遺言を作成する場合は専門家に相談を
円満相続に備えて、せっかく遺言書を作ったとしても、肝心の内容や法が求める形式が整っていないと、遺言書そのものが無効・取消しとなってしまいます。
遺言書の形式によるメリットやデメリット等については、以下のコンテンツを参考にしてみてください。
自筆証書遺言を作成する際には、できれば相続や遺言書に詳しい行政書士などの専門家に相談しながら作成することをお勧めします。
当事務所でも、遺言書についての相談を承っております。疑問点やご不明な点などがあれば、お気軽にお問い合わせください。