被相続人(亡くなった方)が何らかの形で遺言書を残しているかもしれない、という場合、自筆証書遺言については、自宅に保管してあったり、誰かに遺言書を預けていたりといったことが考えられます。
そのため、これについては家族や知人などの誰かに伝えているなどしない限り、相続人が地道に心当たりを探すしか方法がありません。
しかし、公正証書遺言の場合には、原本が公証役場に保管されていますので、相続人は公証役場で遺言書の有無を確認(遺言書の検索)することができます。
公正証書遺言の確認方法
まず、公正証書遺言の有無を確認するためには、基本的に以下のような書類が必要となります。
- 被相続人の死亡事実がわかる除籍謄本
- 被相続人と相続人の関係がわかる戸籍
- 相続人の身分証明書
必要な書類などは、相続の状況や各公証役場によって異なる場合がありますので、事前に必要な書類を確認しておくのが安心です。
なお、相続人以外の代理人が確認手続きを行う場合には、相続人からの委任状と印鑑証明書が必要です。
公正証書遺言の検索・謄本交付の費用について
公正証書遺言の検索を公証役場に依頼した結果、もし遺言書がなければ費用はかかりません。
検索の結果、遺言書が見つかった場合で謄本を取得する場合には、謄本の交付手数料がかかります。
交付手数料は、遺言書の文面の長さによって異なりますが(1枚あたりで手数料が加算されるため)、おおむね1,000円~3,000円ほどです。
なお、もし遺言書をただ閲覧するのみであれば、手数料は200円です。
公正証書遺言の保管期間
公正証書遺言の保管期間は、原則20年と規定されています。
しかし、ほとんどの公証役場では、作成から20年を経過していても保管しているようです。
この点については、各公証役場によって扱いが異なりますので、もし遺言書の検索を行うのであれば、事前に確認しておくのが安心でしょう。
遺言者がまだ存命の場合は利用できません
ちなみに、公正証書遺言の検索や謄本の取得については、必要書類の中に『被相続人の死亡事実がわかる除籍謄本』とあります。
つまり、たとえ相続人であっても、遺言者の生前には遺言書を検索・確認することはできないということです。
親が公正証書遺言を作成したようだが内容を確認したい、というような場合、たとえ相続人であっても、被相続人の生前には内容を確認することはできませんので注意しましょう。