預貯金の相続手続きにおいては通常、被相続人(亡くなった方)名義の通帳や証書といったものをもとにして、口座のある金融機関での手続きを行います。
ところがまれに、通帳や証書といったものがどこにも見当たらず、どこの銀行を利用していたのか、どれくらいの預貯金があるのかが相続人にもわからない、といったケースがあります。
預貯金の相続手続きを行う場合は最低限、銀行名だけでもわかっていれば、その銀行に対して口座照会を行うことで、手続きを進めることができます。
では預貯金があるのかどうかもわからず、銀行名もわからないといった場合には、どのような財産調査をする必要があるのでしょうか。
まずは被相続人の生活圏にある金融機関をあたる
銀行名さえわからないとなると、まずは被相続人の生活圏にある銀行などに対して、片っ端から口座照会を行っていくことになります。
地方など被相続人の生活圏の中に、それほど金融機関の数が多くなければそれほど手間ではないかもしれません。
しかし都市部などに居住していたような場合、当然銀行の数も多くなりますから、これだけでも大変な手間と労力がかかることになります。
口座の所在は生活圏だけにあるとは限らない
さらに被相続人が勤務していた場所の近くや、以前に居住していた地域にも多額の預貯金が残っている口座があるかもしれません。
そのため銀行名さえ不明といった場合の財産調査というのは、正直なところ時間や手間、手数料などお金がかかる作業となります。
これは相続人が自ら行うにしても、専門家に依頼するにしても同じです。
終活の一環として口座の情報は必ず残しておく
すでに相続が発生している場合は仕方がありませんが、これから相続対策を考えている方は、まず相続人が財産状況を把握しやすくしておくことが大事です。
例えば遺言書の作成や、財産目録やエンディングノートを作成しておく、できる限り口座をまとめておくといったことをお勧めします。
それほど多いケースではありませんが、もし被相続人の口座情報が何もわからない、といった場合には、相続手続きなどに詳しい専門家に相談することも検討しましょう。
当事務所では各種の相続手続きについての相談も承っております。疑問点やお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。