遺言書には、財産に関することなど以外に、相続人へのメッセージを自由に書き添えることも可能です。
このメッセージのことを『付言事項』といいます。付言事項は公正証書遺言についても書き記すことができます。
付言事項には、基本的に何を書いても構いません。
例えば、『私が亡くなった後は、お母さんを大事にするように』『兄弟仲良くしてほしい』などといったような、相続人へのメッセージや希望を書き記すのが一般的です。
付言事項を書き記す場合の注意点
付言事項には何を書いても構いませんから、中には、自分の葬儀や埋葬に関する希望などを入れていることもあります。
しかし、いつの時点で相続人が遺言書の内容を確認するのかはわかりません。
もしかすると、遺言書の存在を知ることになるのは、かなり先になってしまう可能性もあります。
つまり、遺言書の内容を相続人が確認した時は、すでに葬儀や埋葬が済んでしまっていた、ということもあり得るのです。
自筆証書遺言の開封は家庭裁判所で検認を受けなければならない
また、自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所での検認を受けないと開封することができません。
検認は申し立てをしてもすぐに行われるわけではありませんので、亡くなってから葬儀などのスケジュールを考えると、遺言書の内容を相続人が知るのは、やはり葬儀後となるでしょう。
ですから、葬儀や埋葬についての希望などは、事前に家族とよく話し合っておいた上で、すぐに希望が確認ができるエンディングノートといったものに記載しておくのが無難です。
付言事項には法的効力がない
そして、遺産の配分などに関する内容とは異なり、付言事項はあくまでもメッセージですから、法的な強制力はありません。
つまり、付言事項に書かれている内容を実行してくれるかどうかは、相続人次第ということになるのです。
ただ、法的効力がない付言事項であっても、よほどの無理難題でなければ、故人の意思として相続人が尊重してくれることは十分に期待できます。
相続分に差をつけている場合には理由を書いておく
特に、遺言で相続人への財産の配分に差をつけているような場合などは、どのような理由で差をつけたのか、といったことをきちんと書き記しておくとよいでしょう。
そうすることで、相続人が遺言書による遺産分割(相続人間で遺産を分けること)に納得しやすいということもあります。
例えば、長男は自分の家業をよく手伝ってくれた、私の面倒をよくみてくれた、といったように、財産の配分に差をつける理由を付け加えておくといったことです。
遺言書を作成する際には、上記の注意点などを考慮しながら、ぜひ家族へのメッセージとして付言事項を入れておくことをお勧めします。
故人の思いがこもった付言事項を書き記しておくことで、相続トラブルとなる可能性がぐっと抑えられる可能性があります。
なお、当事務所では相続や遺言書についての相談を専門に承っております。疑問点やお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。