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遺言書

遺言書は残すことが目的ではない~内容が実現されることが重要

よくわかる相続と遺言書のマニュアル遺言書

私は仕事柄、これまで様々な遺言書を数多く拝見してきましたが、自筆証書遺言、公正証書遺言を問わず、肝心なところが欠けていたりします。

遺言書を作成した方からのご相談であれば、ご本人に適切なアドバイスを行うことができます。

しかし問題は、すでに遺言書を作成された方が亡くなっている場合です。

遺言書を作成した方がすでに亡くなっていれば、当然のことながら内容を変更することはできません。そこで相続人の方が困り果ててご相談に来られることが多々あります。

では肝心なところが欠けていることで相続人の方が苦労する遺言書というのは、どのようなものなのでしょうか。

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遺言執行者がいないと遺言書の内容が実現されないワケとは?

せっかく遺言書を残していても、その内容が実現されなければ、遺言書を作成した意味はないといえます。

遺言書を残した方が自分の意思を実現してもらうためには、遺言書の中にある一文を加えなければなりません。

それは『遺言執行者の指定』です。

遺言執行者を指定しておかないと困ること

まず遺言執行者というのは、簡単にいえば『遺言書の内容を実現するための人』です。

遺言執行者の指定がされていない場合、なぜ困ることが多いのかというと、相続人間の関係や状況によって相続手続きがスムーズに進まなくなる可能性が高くなるからです。

例えば銀行などの金融機関での相続手続きでも、遺言執行者が指定されていないがために、相続人が苦労する場面が出てくるのです。

遺言執行者がいないと『遺言書がない』場合と同じ手続きが求められる

遺言執行者が指定されていない場合、銀行などの金融機関で相続手続きを行う際に、所定の手続き用紙に『相続人全員の』署名と実印の押印、印鑑証明書の添付が求められます。

実はこうした手続きというのは、結局『遺言書がない』場合の相続手続きと同じなのです。

そこで困ることが多いのが、相続人の関係や状況によって手続きがなかなか進まないケースが多いことです。

手続きがなかなか進まない要因としては、主に次のようなことがあります。

  • 遺言書の内容に不満がある相続人がいる
  • 相続人が遠方に居住していて連絡がとりにくい人がいる
  • 音信不通の相続人がいる
  • 相続人の中に認知症をわずらっている人がいる
  • ちょっとしたことでも面倒な手続きを嫌う人がいる
  • 相続人の中に未成年者がいる

こうした要因があると一向に手続きが進まない、面倒で時間のかかる手続きが必要となってくるのです。

遺言執行者が指定されていると手続きがスムーズになる

ところが遺言執行者がしっかり指定されていると、上記のような要因があったとしても手続きはスムーズに進んでいきます。

なぜなら遺言執行者が指定されている場合には、銀行の金融機関などの手続きを遺言執行者が単独で行えるからです。

つまり遺言執行者だけで各種の相続手続きが進められるため、相続手続き後は遺言執行者が遺言書の内容通りに各相続人に遺産を配分していくことになります。

このように遺言執行者が指定されているのといないのとでは、大きな違いが出てくるのです。

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誰が遺言執行者となることができる?

遺言執行者になれない人は『未成年者』および『破産者』です。

その他には特に条件はありません。

そのため友人や知人、相続人の中からでも遺言執行者を指定することはできます。

ただし遺言執行者というのは単独で各種の相続手続きが行える半面でその職責も大きく、ときに法律の知識なども必要となる場面もあります。

また遺言執行者の指定というのは、あくまでも遺言者(遺言書を作成した方)の一方的な意思表示です。

そのため遺言執行者に指定されている人が就任を辞退することも可能なのです。

遺言執行者は相続手続きに精通している専門家を指定するのが無難

遺言執行者は各種の相続手続きを単独で行うことができますが、その手続きも容易なものから手間や時間がかかるものまで多数あり、想像以上に大変な職務です。

また特に相続人のひとりが遺言執行者に指定されている場合で、相続人間の折り合いがよくない、などといった事情があると『他の相続人からの風当たり』というストレスも生じてきます。

そうしたことを考慮すると、遺言執行者は相続手続きに詳しく法律知識も豊富で、相続に関して利害関係のない行政書士などの専門家を指定しておくのが無難です。

相続手続きに慣れている経験や実績が豊富な専門家であれば、一層スムーズに手続きを進めることができます。

何より専門家は業務として遺言執行者に就任することになるため、就任を辞退されるといった心配もありません。

遺言書の作成は相続や遺言書に詳しい専門家に相談を

冒頭でも述べたとおり、遺言書というのは作成することが目的ではなく、内容を実現することが最終的な目的です。

肝心な部分が不十分な遺言書というのは、かえって相続人が困ってしまうことにもなりかねませんし、結局は作成しなかったのと同じ手続きを踏まなければならないことにもなります。

不備のない遺言書を作成したいときは、相続や遺言書に詳しい行政書士などの専門家に相談しながら行っていきましょう。

なお当事務所は相続手続きや遺言書の作成支援などを専門に行っております。疑問点やご不明なところがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。