不動産を相続すると、原則としてその相続した不動産の名義人が今後の固定資産税を支払うことになります。
しかし不動産を相続するにあたって、何らかの事情で複数の相続人が共有名義で登記した、というケースもあります。
では相続人の共有名義で登記されている不動産については、今後どのように固定資産税を負担することになるのでしょうか。
共有相続人それぞれの持分に応じて請求されるのか、持分にかかわらず一括して請求されるのかが問題となってきます。
共有不動産は共有者全員に連帯納税義務がある
まず共有不動産の場合、固定資産税の支払いは共有者全員の連帯納税義務となります。
つまり共有不動産の固定資産税は持分の多少にかかわらず、共有者全員に固定資産税の納付義務が生じることになるのです。
そして納税通知書については個々の相続人に届くわけではなく、その共有不動産の代表相続人に対して全額の納付書が一括して届きます。
ですから共有者名義の不動産に対する固定資産税を、共有相続人がそれぞれの持分に応じて負担するという場合、共有名義の相続人それぞれが納付額を出し合うなどといったことになります。
共有不動産の代表相続人の選定基準は?
共有不動産の代表相続人をどのように決めているのかは、それぞれの市区町村によって基準が異なります。
主な代表相続人の選定基準は主に以下のようなものが考えられます。
- 共有不動産に住んでいる相続人
- 共有不動産の市区町村に住んでいる相続人
- 持分が一番多い相続人
- その共有不動産の世帯主
- 不動産登記簿に記載されている順位
前述のとおり代表相続人がどのような基準で決められているのかは、その不動産がある市区町村によって異なります。
もし必要であれば市区町村役場に問い合わせて確認してみましょう。
もし代表相続人を変更したいような場合には、その不動産がある市区町村役場や都税事務所で変更の手続きも可能です。
共有不動産はいずれ所有者を一本化することも検討
不動産の共有状態というのは固定資産税の問題だけではなく、将来の相続において大きな問題になる可能性が高くなります。
なぜなら共有不動産の所有者が将来亡くなった場合、その持分を次の相続人が相続することになりますので、年月が経過すればするほど権利関係がどんどん複雑になってしまうからです。
専門家の間では、原則として不動産は共有名義にしないというのが半ば『常識的』な判断となっています。
できれば不動産の共有状態というのは、できるだけ早めに一本化するなどの方向で検討することをお勧めします。
当事務所では不動産に関する専門家とも連携して相談に対応しております。疑問点や不安なことがあればお気軽にご相談ください。