被相続人が亡くなり、相続手続きなどに必要となる戸籍を確認していると、自分たちがまったく知らなかった相続人であったり、長年音信不通の相続人が出てくることがあります。
このようなケースであっても、それらの人にも遺産を相続する権利がありますので、この人たちを無視して相続手続きを進めることはできません。
なぜなら、遺産分割協議書の作成や預貯金の払い戻し、不動産の名義変更を行う際には、相続人全員の合意、署名や実印での押印、印鑑証明書が必要となるためです。
では、こうした相続人が出てきた場合、どのように相続手続きを進めるのでしょうか。
戸籍だけでは現住所が分からないことが多い
このような相続人が出てきた場合でも、戸籍をたどっていくことで本籍地までは確認することはできます。
しかし、本籍地と現住所が同じという方ならよいのですが、転居しても転籍をせず、本籍地と現住所が異なっているケースの方が多いものです。
そのため、戸籍で何とか本籍地を確認できたとしても、現住所が分からなければ連絡のとりようがなくなってしまうのです。
戸籍の附票を利用して現住所を確認する
では、戸籍のみで現住所が分からない場合はどうするのかというと、該当する相続人の『戸籍の附票』を取得して現住所を確認することになります。
戸籍の附票というのは、戸籍と一緒に本籍地の役所に保管されている書類です。戸籍が作成されてから、戸籍に記載されている対象者の住所の変遷が記載されているものです。
戸籍の附票は、戸籍謄本などと同様に、本籍地の役所で取得することができます。
戸籍の附票は、記載されいる人の住民票が移動するたびに、転入先の役所から本籍地に通知がなされて、その都度追記されていきます。
そのため、本籍地で戸籍の附票を取得できれば、住民登録している現住所が判明します。
ちなみに、戸籍の附票は相続人の現住所が確認できる書類ですから、住民票の代わりとして、不動産の名義変更などで現住所を確認する書類としても使うことができます。
戸籍の附票も絶対ではありません
ただし、戸籍の附票は、あくまでも『住民票に記載されている現住所』を調べることができるものです。
そのため、もし転居しても住民票を移していなければ、戸籍の附票で現住所を確認できない場合もあり得ますので、すべてのケースで現住所を確認できるわけではありません。
もし、こうしたケースでお困りの際は、まず相続に詳しい行政書士などの専門家に相談することをお勧めします。
当事務所でも戸籍や相続人調査についての相談を承っておりますので、疑問点やお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。