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相続税・贈与

相続『税』対策と相続対策はイコールではない~本当に必要ですか?

よくわかる相続と遺言書のマニュアル 相続税・贈与

一般的に相続の対策というと、まず真っ先に『相続対策』を連想する方が多いかもしれません。

確かに相続税のことを考えることは大事なことではあるのですが、実は多くの方にとっては特別な相続税対策など必要ないケースが多いのです。

なぜなら実際に相続税を納める必要があるケースというのは、かなり少数派だからです。

相続税を納めなければならない相続は、地価が高い都市部でも約12%程度、全国平均で約8%程度となっています。

つまり要は大多数の方には『無縁』のもの、といっても過言ではありません。

相続税の基礎控除額が引き下げられ、さらに2019年からの民法改正以降、様々なメディアで相続(税)対策が紹介されていたりします。

しかしそもそも相続税を納める必要がない人が大多数であるにもかかわらず、いたずらに危機感をあおるようなもの、複雑な節税スキームを紹介しているようなものも少なくありません。

そこでまずは相続税の基礎の基礎をしっかり押さえておきましょう。

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相続財産のすべてに相続税が課せられるわけではない

まず大前提として、相続税というのは相続財産のすべてに対して課税されるわけではありません。

相続税法では基礎控除額というものが定められています。

基礎控除額というのは、遺産全体から控除できる額のことをいいます。

例えば父母と兄弟姉妹が2人という家族構成で、もし父親が亡くなると法定相続人は配偶者である母と兄弟姉妹2人の合計3人となります。

この場合の基礎控除額は、3,000万円+600万円×3で『4,800万円』という数字が出てきます。

遺産の額が基礎控除額を超えなければ相続税の申告も不要

遺産がこの基礎控除額を超えなければ相続税申告は必要ありません。

そして当然のことながら相続税を納める必要もありません。

例えば上記の相続人構成で父親が残した遺産が不動産3,000万円、預貯金など1,800万円ということであれば遺産は基礎控除内に収まることになり、相続税の課税対象にはならないのです。

そして相続税というのはこの基礎控除額を超えた部分に対して課税されます。

もし遺産の総額が5,000万円だったとすると、超えた部分の200万円に対して相続税が課税されるということになるのです。

相続税には様々な特例や控除枠が設けられている

ただ仮に基礎控除額を超えてしまったとしても、相続税法には各種の特例や様々な控除枠が設けられています。

こうした各種の特例や控除枠を適用して、遺産が基礎控除額内に収まれば相続税はかかりません。

相続税法には様々な特例や控除といったものがあり、もし適用できるものがあれば大幅に課税評価額を圧縮することができます。

その結果として遺産が基礎控除額を超えていても相続税が課税されないケースが多いのです。

ただし特例を適用する場合には相続税申告が必要となります。

遺産が基礎控除額を超えてしまうといった場合には、相続税に詳しい税務の専門家に相談してみましょう。

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節税を考えるより先に遺産分割対策が優先

よく節税対策として紹介されている、例えば不動産投資であったり多額の生前贈与などといった相続税対策というのは、多くの人にとって不要なケースが多いのです。

それよりも最優先すべきは遺産分割対策ということになります。

遺産分割対策というのは自分の財産を誰にどれだけ相続させるのかといったことを、あらかじめ対策しておくことです。

具体的には『遺言書』が遺産分割対策の代表的な方法となります。

この遺産分割対策を将来まで見据えて行っておくだけでも、下手な不動産投資や多額の生前贈与などを行うよりも効果的なケースが少なくありません。

相続対策はまず財産内容の洗い出しから

冒頭で述べた通り、実は相続税が課せられる人というのは少数派です。

圧倒的多数の方はほとんど心配する必要がないものとも言えます。

仮に相続税を納める必要があるとしても、不動産投資や多額の生前贈与といった対策を下手に行うより、遺産分割対策をしっかり考慮するだけで大きな節税となるケースが多々あります。

そして『あからさまな』相続税逃れというのはリスクが大きいものとなるでしょう。

相続税対策を過度に焦って行う前に、まずは相続の対象となる財産の洗い出しをしっかり行い、遺産分割対策を行っておくことが大切なことなのです。