相続というと、真っ先に相続税を考える方が多いかもしれません。
確かに、相続において相続税というのは、とても重要なことではあるのですが、実際に相続税を納めている方というのは全体的にみると、実はそう多くはありません。
全国平均では約8パーセント程度、地価が高い東京などの大都市圏でも約12パーセント程度と言われています。
つまり、約9割近くの人にとっては、相続税を考慮する必要がないということになります。
なぜなら、相続税には『基礎控除額』という枠が設けられているためです。遺産がその控除枠を超えなければ相続税の申告や納税が不要なのです。
では、この相続税の基礎控除額というのは、どのように算出されるのでしょうか。
相続税の基礎控除額について
前述の通り、相続税には基礎控除という控除枠が設けられています。
この基礎控除額の算出計算式は以下の通りです。
- 3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
つまり、上記の計算式で出てくる額を超えない財産であれば、そもそも相続税がかからないということになります。
相続税の基礎控除額の計算例
例えば、配偶者と子が2人というケースでは、法定相続人が3人ですから、上記の計算式に当てはめると以下の金額が出てきます。
- 3,000万円+(600万円×3)=4,800万円
ですから、遺産の総額が4,800万円を超えなければ、相続税の申告も納税も不要ということになります。
もし、上記のケースで基礎控除額を超えてしまった場合には、この4,800万円を超えた部分に対して相続税が課税されます。
相続税の税率はどれくらい?
基礎控除額を超えた部分にかかる相続税の税率は、以下の通りです。
法定相続分の取得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下の金額 | 10% | - |
3,000万円以下の金額 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下の金額 | 20% | 200万円 |
1億円以下の金額 | 30% | 700万円 |
2億円以下の金額 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下の金額 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下の金額 | 50% | 4,200万円 |
6億円超の金額 | 55% | 7,200万円 |
上記が相続税の税率になります。
上記の配偶者と子が2人というケースでは、基礎控除額が4,800万円です。
例えば、このケースで遺産が5,000万円だったとすると、基礎控除額を超えた部分の200万円に対して相続税が課せられることになります。
ですから、1,000万円以下の金額で10%、20万円を相続税として納めるということです。
基礎控除額はあくまでも目安
相続税の基礎控除額は、相続税を考える上で最も大事な部分のひとつです。
しかし、仮に計算式で基礎控除額を超えてしまったとしても、財産内容や相続人の状況によって相続税がかからない、あるいは大きな節税ができるケースも多々あります。
相続税の計算にあたっては、各種の特例控除などが適用できる場合があります。
そうした特例控除が適用できれば、基礎控除内額内に収まって税金を納める必要がなくなったり、大きな節税になったりする場合があるからです。
基礎控除額は、あくまでも簡易な目安の数字として考慮しておきましょう。
遺産総額が基礎控除額を超えてしまったら
基礎控除額というのは、あくまでも目安の数字となりますが、もし自分の資産が基礎控除額を超えてしまうような場合には、やはり税務の専門家に相談してみることをお勧めします。
相続税の計算というのは、基礎控除額以外にも様々な特例が使える場合があります。また、そうした特例を適用するにも要件を確認したり、複雑な計算や処理を要します。
相続税の申告において、本来は節税できる制度を知らなかったり、申告すべき財産が漏れてしまっていると、余計な税金を納めてしまうようなことにもなりかねません。
また、相続税の申告を税理士に依頼した場合でも要注意です。実は、相続税に精通している税理士というのは少ないのが現実なのです。
もし、上記の基礎控除額を超えてしまう、依頼した税理士が相続税に詳しいかどうか分からない、などといった場合は、やはり相続税に詳しい税務の専門家に相談することをお勧めします。
当事務所では、相続税に精通した税務の専門家と連携して相談を承っております。疑問点やお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。