名義預金というのは、例えば、親が子のために子名義の預貯金口座をつくって、その口座に親が預金していた、あるいは自分の財産を移していた、といった口座のことです。
親が子名義などで預貯金をしている、というのは決して珍しいことではありません。
目的は様々ですが、住宅ローンの頭金など子の将来のための蓄えとして、あるいは親が将来の相続を見越して相続税対策として行っている、というケースがあるかもしれません。
しかし、この名義預金には注意しなければいけない点が多々あります。
名義預金は相続税の課税対象となります
名義預金について問題となるのは、主に相続税申告が必要な場合です。
たとえ子名義で口座をつくっていても、実質的に親が口座を管理していれば、相続税の申告財産に含めなければならなくなるのです。
また、いわゆる『へそくり』についても、名義預金とみなされる可能性が高いものです。
なお、もし名義預金を申告せず、後に税務署に指摘されるようなことになった場合、無申告加算税や追徴課税といったペナルティが課せられる可能性がありますので、十分な注意が必要です。
名義預金は贈与として扱われることはないのか
名義預金を子への贈与と考えている方も少なくありませんが、法律上、贈与というのは贈与する側と贈与される側の双方に合意(贈与契約)がなければ成立しません。
ですから、親が管理している子名義の口座は贈与契約が成立しているとは考えにくく、法律上は贈与が成立していないことになります。
この名義預金については、相続税申告の際には十分注意しておかないと、後に相続人が苦労することになります。
相続税申告が必要な場合は専門家に相談を
相続税申告では、この名義預金のほかにも様々な注意点があります。
そのため、相続税申告が必要な相続手続きについては、やはり税務の専門家に相談することをお勧めします。
相続税申告は、財産状況によってはとても複雑な処理が必要なことがありますし、申告・納税期限も法律で定められています(原則として相続が発生してから10か月以内)。
ですから、できれば早めに専門家へ相談するようにしましょう。
当事務所では、相続税に関する専門家とも連携して相続に対応しておりますので、疑問点やお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。