これは多くの方がご存じかと思いますが、宝くじの当選金は非課税所得です。
ですから、100万円当選しても1億円当選しても、その所得に対しては所得税も住民税も課税されません。
宝くじの当選金に対して税金がかからないということは、税務署への確定申告も不要ということになります。
ただ、もし宝くじの高額当選者が当選金を残して亡くなってしまったり、当選者が家族などに対して当選金を分けたような場合には、その金額に対して相続税や贈与税は課税されるのでしょうか。
宝くじの当選金には相続税は課税される?
宝くじで高額当選した当選金は通常、指定の銀行口座に振込まれます。
これは当選者のお金ですから、当選者自身がそのまま銀行口座に預金しておくのも、引き出して自宅や貸金庫などに保管するのは自由です。自分のお金ですから当たり前といえば当たり前です。
しかし、もし当選者がこの当選金を残したまま亡くなってしまったら、そのお金はどのような扱いになるのでしょうか。
当選金が残っていれば相続財産として相続税の課税対象になる
結論からいうと、もし当選金を残したまま当選者(被相続人)が亡くなってしまうと、その当選金も他の財産と合算されることになり、相続税の課税対象となります。
当選した時点では、所得税や住民税がかからないことは前述の通りですが、すでに受け取った当選金については被相続人の財産ということになります。
相続税に関しては、当選した金額分だけ非課税という扱いにはなりません。
もし相続税の申告が必要な財産を残していれば、当選金も含めた財産に対して相続税が課税されることになります。
なお、宝くじの当選金を含めて計算しても、相続税の基礎控除内に収まるようであれば、相続税の申告・納税は必要ありません。
宝くじの当選金を家族に分けると贈与税がかかる?
では、宝くじの当選金を家族などに分けた(贈与)した場合はどうでしょうか。
家族内のことだから贈与税はかからないのか、それとも贈与税の課税対象となるのでしょうか。
贈与税の課税対象になる可能性が高い
これも結論からいえば、たとえ家族に当選金を分けたとしても、贈与税の課税対象となる可能性が高くなります。
贈与税というのは、自分の財産を無償で誰かに譲渡した場合などに課税されるものです。
宝くじの当選金は、受け取った時点で当選者の財産となりますので、無償で譲渡すれば贈与税の課税対象となります。
贈与税というのは譲渡した側にかかる税金ではなく、受け取った側に課税される税金です。贈与を受けた人が申告を行い、納税する義務があります。
贈与税がかからないように贈与するには
贈与税は、年間110万円までの贈与に関しては非課税です。
この贈与を『暦年贈与』といいます。
贈与税がかからないように譲渡するには、この非課税枠を利用して贈与を行うという方法がまず考えられます。
ただし、贈与税の非課税枠を利用した贈与については、きちんと税務署に非課税枠での贈与であるということをはっきり証明することができるようにしておくことが重要です。
夢の高額当選でもお金の動きには注意
宝くじで高額当選したら何を買おうか、何をしようか、といった夢をふくらませている方も少なくないでしょう。恥ずかしながら私もそのひとりです。
高額当選というのは夢のような話ですから、おそらく上記のようなケースに該当する方は少ないとは思います。
高額当選したら舞い上がってしまうのは仕方ありませんが、高額当選後のお金の動きというものには十分注意すべきことを、ぜひ頭の片隅にでも入れておいてください。