自分の生前に墓地や墓石をあらかじめ購入しておきたい、といった方も少なくありません。
これは終活の一環でもありますが、墓地や墓石といった祭祀財産と呼ばれるものについては、相続税の課税対象とならないこともあり、相続税対策という意味合いもあります。
核家族化が進んでいる近年では、遠方にある先祖代々のお墓に入るよりも、遺族が気軽に行ける範囲内に自分のお墓を建てたい、ということもあると思います。
しかし、生前に墓地や墓石を購入する際には、知っておきたい注意点もいくつかあります。
生前に墓地や墓石を建てる場合の主な注意点
生前に墓地や墓石を購入しておくことは、決して縁起が悪いことでもありませんし(むしろ縁起がよいともいわれています)、先にも述べた通り、相続税の節税対策の一環としても有効な手段となります。
ただし、生前に墓地や墓石を建てる前には注意しておきたいポイントがあります。
お墓の維持費がかかる場合があること
生前に墓地の購入や墓石を建てた場合、維持費がかかる場合がある点があります。
通常、墓地を購入すると管理費などがかかるのが一般的です。
また、お墓をお寺に建てる場合には、名目は様々ですが、会費であったりお布施といった費用がかかることもあります。
生前に墓地や墓石を購入しておくことは安心感もありますが、生前であっても、こうした費用負担がある点は考慮しておいた方がよいでしょう。
生前にお墓を建てる場合は場所が限定される
まず、費用の安い公営墓地などでは、ご遺骨があることが条件になっている、つまり生前には墓地をもてないところがほとんどです。
民間の霊園や墓地についても、生前に墓石を建てることができないところが多数あります。
つまり、どの霊園や墓地でも生前に購入できるわけではないということです。
最近になって注目されている樹木葬や、永代供養の納骨堂といった形式については、生前にあらかじめ申し込みができるところが多いのですが、一般的な霊園や墓地については限定されるということも考慮しておきましょう。
また、墓地や墓石を購入した後に、もっと条件のよい場所がよかった、などといった後悔をしないよう、きちんと念入りに調べて準備をすることも重要です。
生前の墓地・墓石購入で遺族の負担は軽減されますが
上記のように、生前の墓地・墓石購入については注意点があります。
確かに、生前にあらかじめ墓地や墓石が用意されていれば、遺族の負担はかなり軽減されますが、将来のことも見据えて慎重に検討するようにしましょう。
ただ、生前に自分の墓地や墓石を購入することは、安心感や税金面だけではなく、自分好みのお墓をイメージできるというメリットがあります。
最近では一般的な縦長の墓石ではなく、いわゆる洋型の墓石も人気があるようです。また、樹木葬や永代供養の納骨堂といった形式など、自分の遺骨の行く末には様々な選択肢ができてきました。
いわゆる『散骨』という形を希望する方も少なくないようです。
お墓というのは決して安い買い物ではありません。
時間をかけてじっくりと慎重に検討する必要がありますし、実際に葬送を行うことになる家族との話し合いなども重要となるでしょう。