被相続人(亡くなった方)名義の預貯金などがある場合、当然のことながらこの預貯金についても遺産分割(遺産を分けること)の対象となります。
ところが相続人同士の関係がよくないなど何らかの理由で、相続人のひとりが被相続人名義の預貯金通帳を見せてくれない、などといったケースもあります。
相続人同士で遺産分割を行うにあたっては、被相続人にどれくらいの財産があったのか、ということを確認、把握しておきたいところでしょう。
もしも相続人の誰かが遺産を使い込んでいたようなことがあれば、その分も遺産分割で考慮しなければなりません。
このような場合、相続人であれば被相続人の預貯金の動きを確認する方法があります。
相続人であれば取引明細書を取得することができる
その方法とは、被相続人名義の預貯金口座のある金融機関に『取引明細書』を出してもらうことです。
取引明細書というのは、預貯金の取引状況を月ごとに確認できる書類です。
つまり、預金通帳に記載されている内容と同じものが確認できる書類ということになります。
もし被相続人名義の預貯金通帳が確認できないようであれば、この取引明細書を金融機関に出してもらいましょう。
取引明細書を出してもらう手数料は高い
ただし取引明細書を取得する場合の手数料は金融機関によって異なりますが、請求する期間によっては高額になります。
手数料は、おおむね1通あたり700円から1,000円ほどかかります。
この1通というのは1か月分です。
もし1年分の取引明細書を取得しようとすると、12か月分の手数料がかかることになります。
しかも取引がまったくなかった月があったとしても、その月分の手数料がかかります。
通帳が確認できればそれに越したことはないのですが、どうしても確認できなければやむを得ず取引明細書を取り寄せて確認しなければなりません。
もし遺産を使い込んでいた相続人がいたら
そうして取引明細書を確認したところ、被相続人が亡くなって口座が凍結される前に預貯金が引き出されていた、といったようなことがあれば、その使途も確認しなければなりません。
葬儀費用などのやむを得ない支出であれば問題ないのですが、もし通帳を管理していた相続人が勝手に遺産を使い込んでいたりした場合、これは遺産分割を行うにあたって問題となってきます。
当然のことながら、そのお金は被相続人の遺産としてあるはずのお金となりますので、使い込んだ相続人はその分を弁済するか、使い込んだお金を差し引いて遺産分割を行うことになります。
遺産に関してトラブルが生じてしまったら
ただ素直に使い込んだ相続人が認めれば話は早いのですが、このようなケースは往々にして相続人間でトラブルになりやすい事例といえます。
そうした事実が発覚した場合にトラブルが生じたら、遺産分割調停(家庭裁判所での話し合い)といった手段をとる必要があるかもしれません。
取引明細書は遺産分割調停においても証拠として使うことができますので、もし遺産を使い込んでいるなどの疑いがあれば、取得しておくことをお勧めします。