相続の法律用語として、『直系尊属』『直系卑属』とった言葉が使われることがあります。
直系尊属は『ちょっけいそんぞく』、直系卑属は『ちょっけいひぞく』という読み方をしますが、一般の方はあまり馴染みのない言葉でしょう。
この直系尊属、直系卑属というのは、相続に関連する民法の条文にも度々出てくる用語です。
それぞれの意味を簡単に解説してみたいと思います。
直系尊属と直系卑属とは?
直系尊属というのは、自分から見て父母や祖父母などといった上の世代のことであり、かつ直通している親族のことを指します。
直通している親族というのは、自分と直接の血縁関係があることを意味します。
ですから、例えば配偶者の父母や祖父母といった人や、叔父、叔母といった人は直系尊属にはあたりません。
ただし、血縁関係がなくても、戸籍上で養子縁組をしていれば、自分の養父母といった人も直系尊属にあたります。
一方、直系卑属というのは、自分から見て子や孫、ひ孫といった下の世代で、かつ直通の血縁関係にある人を指します。
直系卑属も直系尊属と同様に、直通している血縁関係のことを意味しますので、例えば自分の甥や姪といった人は直系卑属にはあたりません。
なお、これも直系尊属と同様、戸籍上の養子縁組をしていれば、養子も直系卑属になります。
自分が戸籍に入っていなくても戸籍が取得できる
この直系尊属、直系卑属といった人たちの戸籍に関しては、たとえ自分が戸籍に記載されていなくても取得することが可能です。
ですから自分の相続人は誰なのか、といったことを確認しておくために、自分の直系尊属や直系卑属にあたる人たちの戸籍をあらかじめ取得するということもできます。
自分の家系図を作りたいという人も
前述の通り直系尊属や直系卑属に関しては、自分が戸籍に記載されていなくても戸籍を取得することができます。
ですから最近は自分のルーツを残しておくために家系図を作成しておきたい、といった目的で戸籍を取得する方も少なからずいます。
以前(平成22年6月の戸籍法改正前)は、除籍簿や改製原戸籍の保存期間が80~100年でしたが、法改正後は150年に延長されています。
特に、人口の多い都市部では、すでに破棄されてしまっているケースが多いかもしれません。
上記の通り、古い戸籍データがすでに破棄されてしまっている場合には、残念ながらそこまでしか戸籍上で確認することはできません。
しかし人によっては、今なら戸籍だけでも幕末くらいまでのご先祖様を確認することができる場合があります。
自分のルーツを調べてみたいという方は、直系尊属にあたる人の古い戸籍を取得してみると、意外な発見があるかもしれませんね。