パソコンやスマートフォンを利用している主な世代は、現在10代から50代が最も多くなっています。当然、60代以上のインターネット利用率も年々増加傾向に向かうと思われます。
70代でのインターネット利用率は、今現在では約5割、80代は2割程度ですが、これも年を追うごとに増加していくことは想像に難くありません。
インターネット接続端末は、すでにパソコンよりもスマートフォンの比率が多くなっており、これも増加してくることになるでしょう。
そこで問題のひとつとして考えておきたいのが、故人のデジタル遺品となるスマートフォンの行く末、いわゆる『デジタル終活』というものです。
キャッシュレス化の波が押し寄せてきている
買い物などで現金を使う比率は、欧米や東アジア地域ではすでに増加し続けており、特に韓国にいたっては、もう9割近くがキャッシュレスで決済を行っていると言われています。
日本はまだまだ現金主義が根強いためか、キャッシュレスでの決済は約2割程度にとどまっているところです。しかし、この比率はこれから上がっていくのは間違いありません。
国も欧米などに歩調を合わせるよう、グローバルスタンダードに近づける方向で、政策としてキャッシュレス化を進めてきています。
キャッシュレス化社会の主役はスマートフォン
これからキャッシュレス化した社会で主役となるのは、やはりスマートフォンです。
つまり、スマートフォンが財布や通帳代わりとなり、個人資産だけではなく、取引履歴や引き落としの契約状況などが、スマートフォンにどんどん集約化されていくことになります。
そうした金銭だけではなく、ポイントカードや診察券、お薬手帳などもスマホで一元管理できるサービスもあり、これからますます重要なアイテムになっていくでしょう。
デジタル遺品問題は持ち主が亡くなったときにやってくる
こうしてキャッシュレス化が進んできて、スマートフォンがデジタル遺品として残された場合、もしスマートフォンのロックが解除できないと、そのまま放置されてしまう可能性があります。
おそらく、すでにロックを解除することができずに放置されていたり、中身がわからないまま処分されてしまっているものも少なくないと思われます。
さらに問題なのは、契約している通信キャリア(ドコモやau、SoftBankなど)は、基本的にスマートフォンのロック解除には応じてくれません。
通信キャリア側とすれば、個人の設定やスマートフォンの中身まで責任を負いきれないというスタンスであり、技術的にも難しいという問題があります。
デジタル遺品となるものは自衛策をとるしかない
このような問題が起こらないようにするためには、やはり持ち主自身が自衛策を講じておくしかありません。
自分の死後、デジタル遺品の問題をきちんと念頭に置いて使っていくということです。
自衛策としては、アナログ的な方法にはなりますが、やはりエンディングノートといったものを活用して、紙媒体でIDやパスワードなどの情報を整理しておくことが重要でしょう。
スマートフォンだけではなく、パソコンなども含めたデジタル遺産というのは、今後どんどん増え続けていくことは確実です。
比較的少額しかチャージできないSuicaなどといった電子マネーだけであれば、放置されても問題は少ないかもしれません。
しかし、インターネットバンクや株取引、FXといった口座情報をスマートフォンのアプリなどで一元管理しているような場合は要注意です。
口座の有無が分からないだけではなく、もし大きく為替が動くようなことがあると、残された遺族が多大な金銭的損害を被ることにもなりかねないからです。
デジタル遺品問題と利便性というのは、常に隣り合わせであることを認識しておきましょう。
もしものときに情報をきちんと遺族が確認できるようにしておくことが、デジタル終活では最も重要なことなのです。