遺言書で遺贈(遺言書での贈与)するはずだった受遺者(贈与を受ける人)が、被相続人よりも先に亡くなってしまっていた、というケースも少なくありません。
ここで問題となるのは、遺贈そのものが無効となってしまうのか、受遺者の相続人が代襲相続するのかといったことです。
どちらの扱いとなるにしても、その金額によっては相続において大きな問題となってきます。
ではこのようなケースでは、本来遺贈するはずだった財産部分はどのように取り扱われるのでしょうか。
遺言は被相続人が亡くなった時点で効力が生じる
まず大前提として考えなければならないのは、被相続人が残した遺言書の効力が発生するのは、あくまでも被相続人が亡くなった後になります。
つまり被相続人が亡くなった時点ですでに受遺者が亡くなっていたような場合には、その遺言内容については無効となります。
この場合はそもそも遺贈そのものが無効となるため、次の世代が代わりに遺贈を受けるといった代襲相続という問題も生じません。
遺贈するはずだった財産はどうなる?
遺言書に書かれている遺贈が無効ということになると、その遺贈するはずだった財産はどのように取り扱われるのでしょうか。
遺贈が無効ということは、そもそも遺贈がなかったという扱いになりますから、その遺産は相続財産として法定相続人が引き継ぐことになります。
つまり遺贈そのものがなかったことになりますので、法定相続人間で遺産分割が行われます。
予備的遺言を活用することで遺贈を実現することも
遺贈したい人が先に亡くなってしまう可能性も考えられるのであれば、『予備的遺言』という方法で遺贈の意思を残しておくことができます。
予備的遺言とは『もし受遺者が先に亡くなっていた場合には、その子に遺贈する』といった文言をあらかじめ遺言書の中に書き加えておくことです。
つまり受遺者の代わりに遺贈してもらう人を、あらかじめ予備的に記載しておくのです。
できる限り遺言者の意思を実現させるためには、このような予備的遺言というのも検討しておくのがよいでしょう。
当事務所でも遺言書についての相談を承っております。ご不明な点などがあれば、お気軽にご相談ください。