この現代社会では老若男女問わず、たとえ過失がなくても、誰もが交通事故などに巻き込まれる可能性はあります。
そして不幸にも死亡事故に遭ってしまったら、そこで相続が始まることになります。
遺族となる相続人には、交通事故の加害者に対して損害賠償金を請求する権利が生じてきます。
では、この交通事故で被相続人が亡くなってしまった場合の損害賠償金というのは、被相続人の遺産として扱われるものなのでしょうか。
損害賠償金は相続財産にはならない?税金はどうなる?
まず結論から言えば、交通事故で亡くなった場合の損害賠償金というのは、被相続人の遺産にはなりません。
この場合の損害賠償金というのは、あくまでも被相続人の遺族(相続人)が請求する権利なので、相続とは別の問題となるためです。
ですから仮に高額な損害賠償金が支払われたとしても、その損害賠償金は相続税の課税対象にもなりません。
遺族が取得する損害賠償金の扱いはどうなる?
遺族(相続人)が受け取る損害賠償金については相続財産ではないことは前述しましたが、所得税法上では遺族の所得として扱われます。
ではその所得に対して遺族に所得税が課せられるのか、という問題が出てきます。
これについて所得税法上では、損害賠償金は所得として扱われますが、損害賠償金には所得税は課せられないことになっています。
つまり死亡事故などの損害賠償金というのは相続税も所得税もかからず、特に何の税金もかからないことになります。
事故後に被相続人がまだ生存していた場合は事情が変わる
ただし交通事故に遭った被相続人が事故後もまだ生存していて、その事故に対する損害賠償金が支払われることが決まっていた、というケースの場合は少し事情が変わってきます。
まず相続というのは被相続人の死亡によって発生するものです。
被相続人がまだ生存している間に損害賠償金が支払われることが決まり、その後に被相続人が死亡した場合、被相続人自身が損害賠償金を受け取る権利を、遺族である相続人が相続するということになります。
この場合は損害賠償金についても被相続人の遺産という扱いになり、相続税法上は相続税の課税対象となりますので注意が必要です。
交通事故というのは過失の有無にかかわらず、いつ、どこで起こるのかわかりません。
相続というと遺産のある高齢者の問題と思われがちですが、交通事故は老若男女、年齢などに関係なく、このようなことで相続という問題が生じるケースもあるので注意が必要です。