相続・遺言書専門の行政書士事務所・埼玉県川越市の行政書士鈴木法務事務所ホームページはこちら

相続と介護問題~争いを回避するカギは遺言書

よくわかる相続と遺言書のマニュアル 遺言書

お金の問題となる相続においては、相続人間での争いということに発展することも決して珍しいことではありません。

相続人間の相続財産の差が数十万円程度であっても、泥沼の相続争いに発展してしまうこともあります。

実際、相続トラブルになっている事例の大半は、相続財産が5000万円以下といった、決して資産家ではないごく普通の相続で起きています。

つまり、財産の多少ではなく、どのような相続でもトラブルになる可能性があるということです。

そして近年、特に問題となっているのが、相続と介護に絡む相続トラブルです。

同居して介護していても相続分が増えるわけではない

核家族化と高齢化社会という現代では、親と同居して介護も行っているというケースも少なくありません。

介護というのは肉体的な負担はもちろんのこと、精神的な負担も大きいものです。

そうした状況の中で介護していた親が亡くなり、相続が生じた際に、相続トラブルというのが生じやすくなります。

介護をしていた相続人としては、介護をしていた負担を考慮してもらいたいにもかかわらず、他の相続人が均等割りでの遺産分割(相続財産を分けること)を要求して相続トラブルに発展するケースが増えてきているのです。

法律上、子は親の扶養義務があります。そのため、たとえ相続人の中に親の介護をしていた人がいたとしても、通常は相続で優遇されることはありません。

相続の制度には『寄与分』という考え方もありますが、親と同居して面倒をみることは扶養義務の範囲内とみなされることが多く、寄与分が認められるハードルはとても高いのが現実です。

相続における寄与分とは?
寄与分というのは、相続人の中に、被相続人(亡くなった方)の財産の維持や増加について、特別の寄与(貢献)をした人に対して、その分を法定相続分に上乗せすることを認める制度です。 特別の寄与とは、例えば、被相続人の事業などに対して労務の提供や財産の給付を行っていたり、被相続人の療養看護などに努めるな...

そのため、たとえ同居して親の介護をしていたとしても、その分相続分が多くなるということは、ほとんどないのです。

寄与分を主張できるのは法定相続人のみ

また、寄与分を主張できるのは法定相続人に限られます。

ですから、例えば亡くなった方の介護は主に相続人の配偶者が行っていた、といった場合、相続人の配偶者は法定相続人ではありませんので、寄与分を主張する権利がありません。

どれだけ献身的に面倒をみていたとしても、法定相続人ではないので遺産分割協議(相続人がどのように遺産を分けるかの話し合い)に参加することもできません。

相続における遺産分割協議とは?
相続が開始されると、被相続人(亡くなった方)の遺産をどのように分けるのかを、相続人間で話し合って決める必要があります。 民法には、法定相続分や遺留分といった遺産についての規定がありますが、相続人の全員が合意することで、必ずしもこの規定通りに遺産を分ける必要はありません。 この遺産をどのよ...

そこで効果を発揮するのが遺言書なのです。

介護と相続の問題を回避するためには遺言書

介護をめぐる相続トラブルを回避する最も有効な手段は、やはり遺言書を残しておくことです。

遺言書があることで、介護をしていた相続人の相続分を増やすことができるだけでなく、面倒をみてくれた相続人の配偶者に対して遺贈という形で財産を残すことも可能となります。

遺言書に書かれている遺贈とは?
遺贈とは、遺言によって遺産の全部または一部を、特定の人に贈与することです。 民法第964条(包括遺贈及び特定遺贈) 遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部または一部を処分することができる。ただし、遺留分に関する規定に違反することができない。 わかりやすく言えば、『遺言で贈与する』か...

遺言書がある相続では、遺言書の内容が最優先されます。

ですから、遺言書があることによって、相続人同士でトラブルとなる可能性をぐっと抑えることが期待できるのです。

もし、自分の面倒をよくみてくれた相続人や子の配偶者に、より多くの財産を残したいという意思があるのであれば、相続トラブルを回避するためにも遺言書を残しておきましょう。

相続人の遺留分には要注意

ただし、相続分に極端な差があると、他の相続人の遺留分を侵害してしまう場合がありますので、その点には注意が必要です。

相続における遺留分とは?
遺留分というのは、相続にあたって、一定の相続人に対して保証されている相続財産の一定の割合のことです。 遺留分は、被相続人(亡くなった方)からの生前贈与や遺贈によっても奪われる権利ではありません。 ですから、生前贈与や遺贈が多額であったり、特定の相続人に対してのみ相続分が多額であるような場...

相続人の遺留分を考慮していない遺言書でも、法的に遺言書が無効となるわけではありません。

しかし、遺留分を侵害されている相続人には、遺留分減殺請求権を行使する権利があります。

遺留分を無視した遺言書でも有効?
例えば、被相続人(亡くなった方)に長男、次男、三男と三人の子がいて、長男が被相続人と同居していた、というケースで考えてみましょう。 被相続人は、『自分の全財産は同居していた長男にすべて相続させる』という遺言書を残していたとします。 この遺言書の通りに遺産分割(遺産を分けること)を行うとす...
相続人の権利~遺留分減殺請求とは?
まず、遺留分とは、被相続人(亡くなった方)の相続財産について、その一定の割合を一定の法定相続人に保障する制度です。 遺留分の権利者は、被相続人の遺言などで遺留分を下回る遺産しか相続できないような場合に、遺留分に相当する財産を受け取ることができるのです。 民法第1031条(遺贈又は贈与...

遺留分を考慮していないと、せっかく遺言書を作成したとしても、後に自分の面倒をみてくれた相続人が苦労することにもなりかねません。

自分の死後に相続人間でトラブルを生じさせたくない場合には、生前からしっかりと相続のことについての意思をもち、その準備をしておくことが大切です。

遺言書は、相続について自らの意思を法的効力のある形で残せる唯一の方法です。

遺言書の作成について不明な点や心配なことがあれば、相続に詳しい専門家に相談することも検討してみてください。

なお、当事務所でも遺言書作成についての相談を承っております。もし疑問点やお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。

遺言書
このコンテンツが気に入ったら
いいね!してください
最新情報をお届けします。
著者行政書士プロフィール

1971年埼玉県狭山市出身。平成18年1月、埼玉県川越市に行政書士鈴木法務事務所を開業。埼玉県行政書士会川越支部所属・同支部理事。
開業当初より遺言書作成・遺産相続手続きを中心とした分野を専門として取り組み、事務所を構える埼玉県川越市を中心とした地域密着型の業務で、遺言書作成・遺産相続手続きの専門家として大きな信頼を得ている。

よろしければ鈴木順一(行政書士)をフォローしてください
よろしければシェアしてください
よろしければ鈴木順一(行政書士)をフォローしてください
よくわかる相続と遺言書のマニュアル