遺留分を無視した遺言書でも有効?

よくわかる相続と遺言書のマニュアル

例えば、被相続人(亡くなった方)に長男、次男、三男と三人の子がいて、長男が被相続人と同居していた、というケースで考えてみましょう。

被相続人は、『自分の全財産は同居していた長男にすべて相続させる』という遺言書を残していたとします。

この遺言書の通りに遺産分割を行うとすると、当然のことながら次男、三男は何も相続できないということになってしまいます。

では、このように遺留分を無視している内容の遺言書でも有効となるのでしょうか。

基本的に遺言者の意思が最優先される

結論からいえば、このように他の相続人の遺留分を無視している内容の遺言書でも、有効なものとなります。

遺言書というのは、基本的に遺言者の意思が最優先されるからです。

ただし、次男と三男については、遺留分減殺請求という権利があります。

遺留分というのは、相続にあたって、一定の相続人に対して保証されている相続財産の一定の割合のことです。 遺留分は、被相続人(亡くなった方)からの生前贈与や遺贈によっても奪われる権利ではありません。 ですから、生前贈与や遺贈が多額であったり、特定の相続人に対してのみ相続分が多額であるような場合には、権利をもつ相続人の遺留分を侵害してしまう場合があります。

ですから、次男と三男は、自分の遺留分の範囲で財産を相続する権利があるのです。

つまり、遺言書そのものは無効とはなりませんが、一定の相続人には遺留分を請求する権利がある、ということです。

なお、遺留分というのは、ただ黙っていて受け取れるものではありません。

遺留分を受け取る権利がある相続人が、一定の期間内(原則として相続が生じてから1年以内)に遺留分減殺請求を行わなければ、その権利は時効消滅してしまいます。

まず、遺留分とは、被相続人(亡くなった方)の相続財産について、その一定の割合を一定の法定相続人に保障する制度です。 遺留分の権利者は、被相続人の遺言などで遺留分を下回る遺産しか相続できないような場合に、遺留分に相当する財産を受け取ることができるのです。 民法第1031条(遺贈又は贈与の減殺請求) 遺留分権者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる。 この遺留分を請求することを、遺留分減殺請求といいます。

できれば遺留分に配慮した遺言書を

遺留分を無視した内容の遺言書というのは、どうしても相続人間でトラブルが生じやすいものです。

遺言書があることで、余計に深刻な状況になってしまうということも多々あります。

そうしたトラブルを防止するには、相続欠格や廃除にあたる事情がない限り、やはり最低限、相続人の遺留分に配慮した内容とするのが無難といえます。

相続欠格というのは、本来相続人に該当する人であっても、相続権をはく奪されて相続人となれない場合のことです。 相続欠格については、家庭裁判所の審判等は必要ではなく、相続欠格に該当した時点で相続権を失います。 民法では、以下のような人について相続欠格を定めています。
遺言書において、特定の相続人に財産を相続させない旨の内容を作成すること自体は可能です。 基本的に、遺言書というのは被相続人の自由な意思を最大限尊重するためのものだからです。 しかし、相続トラブルをできる限り避けるためには、できれば、遺留分を侵害しない程度の内容である方が安心です。

これから遺言書を作成するという方は、このような点にも注意しながら、十分に内容を検討してみましょう。

もし、遺言書の内容などについて不安な点がある場合には、相続や遺言書に詳しい行政書士などの専門家と相談しながら作成することをお勧めします。

当事務所でも、遺言書についての相談を承っております。ご不明な点などがあれば、お気軽にお問い合わせください。

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